家出と映画と不登校(ダメ母の懺悔)
昨日は久しぶりに映画を観てまいりました。
『ワンダー君は太陽』。
自分の子育て、というよりも、家族のいろんなことに重なるところも多く。
涙腺崩壊して帰ってきました。
田舎(ココ)に移住してから息子の中学校卒業までの3年間、ふたりで映画を観に行くことが多かった。
行くのはたいてい平日だったから、映画館も映画館が入っているショッピングモールもそれほど混雑していることはなく、そういう意味では快適だったな。
映画は楽しめたし息子との会話もいつも以上にはずんだけど、やっぱりどこか複雑で悶々とした気持ちがつきまとう。
「あ~あ、今頃 “ふつうの中学生” は、学校で4時間目の授業中だろうな。」とか、そういうしみったれた思いが、ね。
一般的に、かどうかはわかんないけど、親は不登校の子どもに「学校に行ってほしい。」という思いを押し付けちゃいけないとか、感じさせちゃいけないとか、そういうの、ありますよね。
出来の悪い私はガマンせずに言っちゃってたよ。その場で、息子に。
「あのね、これはアッタリ前のことじゃぁないんだからね。」
「平日のこの時間。学生は学校で活動してるし、大人だって多くの人は、会社やお店で仕事してるの。」
ってゆうようなことを。
私の毎度のお説教に対して、当の本人は、
「わかってるよ。そんなこと。うるさいなぁ。」
とかなんとか、シレっとしてましたなぁ。
息子が不登校になって半年以上経ったある日、ダメな私はついに家出をしてしまいました。
あ、ちょっと違う。これが初めてじゃなかった。その前にも1泊2日のをやってた。あ、いや・・・。余罪はまだまだあるかも。
知らない土地で、知人も友人も話相手も一人もいない中、孤軍奮闘、いろんなことに対応し、自分だけが苦しくって満身創痍で闘っているってゆう、どん底な気分にどっぷり浸ってて、毎日毎日「もう限界。もう無理。」と夫のケータイに愚痴だらけのメールを送ったりしてたっけ。
家出をしたのは、この日に決行しようとか、なにか準備があったわけでもなく、ある日の午後、ちょっとしたきっかけでキエェーーーーイッ!!と家を飛び出したのです。
着の身着のまま。それはそれはヒッデー恰好で。
とはいったって、こーんな山ん中です。徒歩での家出が成立しません。家出人で捜索願いが出される前に、遭難者として捜索隊が出動してしまうでしょう。
だから、着ているものはヨレヨレの部屋着、足元は左右それぞれちがうスリッパ。でも、車のカギとお財布(免許証入り)の入ったバッグだけは条件反射的に握りしめていたのでした。
家出していた数日間、どこでどう過ごしていたのかは誰も知りません。
夫からはスマホに何度も連絡が来ましたし、私だって息子だけでなく置いてきてしまった助さんとマルのことがとても心配でしたから、最低限の連絡はしました。
特に助さんとマルの食事関係のことは念入りに。
気になる息子の様子。私の居ない間、食事の支度、洗濯、お風呂の掃除、私より上手にやってくれていたようで、お恥ずかしいかぎりです。
そうです。甘ったれでダメダメな母親です。
子どもとワンコ&ニャンコを放って家を出ちゃうなんてこと、やっちゃだめです。
そんなことができたのも、夫が会社勤めではなく時間の融通のきく生活をしているから。収入はメチャクチャ少ないけど、夫がそういう生活を選んだから、アホな私があんなことできたんです。
夫が家に居てくれてなければ、いくらハチャメチャな私でも子どもたちを置いて家を空けることはできません。たぶん。
家出生活数日目の朝、息子宛にメールした私。
その日は息子と映画を観に行く約束をしていたのです。たしか金曜日でした。
「映画一緒に観に行くって約束してたのに、ごめんなさい。」
そんな身勝手な内容だったと思います。
そしたら息子から電話が。
「ほんとは帰ってきたいんでしょ?」
「帰ってきたいなら、帰ってきていいんだよ。」
はい…。電話口で大号泣。
情けない母親は泣きじゃくりながら我が子に言いました。
「でも、こんな酷いことしちゃって、帰れないよぉ・・・。」
ホントにこれが40代後半の母親かっ。
「じゃ、オレが迎えに行って一緒に家まで帰ろうか?どこに居るの?」
はぁ。公共交通機関も無いような山の家で過ごす中学生にこんなことを言わせてしまいましたよ。
で、どうなったかといいますと。
最寄りの駅まで夫が息子を送り → そこから電車で約1時間の駅で私は息子と再会 → そのまま約束の映画へ → 食事と買い物 → そして二人で自宅へ帰る
ごめんなさい。ほんとうにごめんなさい。
母の家出騒動から3週間後。
息子はなんとなく学校へ行き始めました。
こんな母親の傍にいたら、マジでヤバイぜ、とかって感じたのでしょうか。
いえいえ、私のとった行動を正当化するつもりはありません。
良い子も悪い子もぜったいにマネしないでくださいね。
そしてあれから3年。
もう息子と映画を観に行くこともなくなりました。
こんな母より、気の合う友だちと出掛けるほうが楽しいに決まってる。
ひとりで映画館行くこともあるようだしね。
たとえゆっくりだとしても、子どもってゆうのは、その子なりのスピードで成長していくんだな。
私はもう半世紀も生きてきてるというのに、相変わらずこのザマだよ。
ほんとうに申し訳ない気持ちでいっぱいでございます。
明日からまたがんばろっと。